散歩とミソハギ

 今日は久しぶりに家人と散歩に出かけた 。私は速歩きで家人は自転車である 。

 途中7時から開いているスーパーに立ち寄り買い物をして、東京モノレールの見える公園でちょっと一休み、ハイボールを飲んでいた。

 空港に近いので東京モノレールが上り下りと行き交うのだが、その度に私は、「行ってらっしゃい」 また、「ようこそ日本へ」と口ずさみながら、自慢の真っ赤な帽子を手に取って振っていた。

 家人は恥ずかしがって、「やめなさいよ」と言うのだったが、ただ、たった一人、遠い車窓の中から私に向かって手を振ってくれる人がおり、それだけ手を振った甲斐があったのではないかとなんだか嬉しくなったのである。

 その後は私だけ再び散歩に出て、陋家に近い東糀谷防災公園に佇んでいると、こじんまりとした 一角に ミソハギの咲いているのが目についた。

 ーーなるほど。郷里にいる頃、田んぼの畔などに咲いているのを目にしたが、盆花とはよく言ったもので、この大都会にあってもお盆になると咲くのだな。

 と感心させられていると、ミソハギの隙間を縫う様にトンボが行き交っている。その尾は赤や黄色や茶色や灰色など、それぞれの個性をアピールする様に塗装され、私の周りをくるくると回るのである。

 ふと何気なく人差し指を立てれば止まるだろうと思ったが、たった一匹も止まることがなかった。

 この指にけふも止まらぬ蜻蛉かな

 そんな一句を呟いて、明日また人差し指を立てて見ようと、とりあえずこの場を後にしたのだった。

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